プロット・ディレクター (中里融司  電撃文庫)

中里融司「超」科学シリーズ第1弾!”(帯より)
狂科学ハンターREIの第2部をずっと待ちつづけている身にはここまで素敵な煽りはありません。
で、感想としては、あー、うーん、アリ、かな?
内容は俗に言うトンデモ本系のネタ*1


「プロット・ディレクター=陰謀演出家」ということで陰謀が本作のキーワードです。
西洋音楽は日本人の精神を堕落させるためのユダヤの陰謀だ!」
とか
「思想や流行をリードしている人達(いわゆる成功者)は全て人間そっくりに化けた異星人の手先であり、本来の地球人は彼らによって操作されているんだ!」
とかの陰謀論とか好きな人達におすすめ。
実際この作品世界には≪叡智の眼≫や≪第三帝国≫などのおなじみの秘密結社が実際に存在します。
そういった秘密結社が絶好調暗躍する世界で、特殊な能力を持った主人公が巻き込まれてしまう話。


イラストはファミ通ガーゴイルと同じ方で日向悠二さん。
男の子や女の子は可愛くていいんですけど、P86とかの東日流さんとか大人の凄みみたいなのを感じにくい絵かなと思ったりもします。
ガーゴイルみたいなほのぼのコメディだと合っていると思うんですけど。


要するにトンデモはトンデモでも秘密結社、陰謀論、異星人系なんですね。
私としてはREIのようなエジソンの霊界交信機、ルイ・ケルブランの生体内元素転換、ハロルド・サクストン・バーの生命場(Lフィールド)理論やメスメルの動物磁気などの
元ネタアリの擬似科学系トンデモネタが好きなので、微妙に期待していたのと方向性が違うかなーと。
こっちはこっちでそれなりに好きですけど。


読んでて嬉しかったのは≪新ナチス≫の主力機としてアダムスキー型UFOの下にV号中戦車≪パンサー≫の砲塔をつけた≪吹雪≫(シュネーシュトルム)272が出たところとか。
あと、中里先生だなーと思ったのは、美樹先輩がミサイルを撃つシーンとか米軍VS汐満蛇のシーンとかとか。
防衛庁戦史研究室の名前が出たりやたら3サイズが書かれているところとかとかとか。
あー、でもつるぺたは新境地ではないでしょうか。
ていうかまさか中里先生の作品の本文で「つるぺた」という単語を目にする日が来ようとは。
ちなみに仮に私に本の中の登場人物になれる特殊能力があったとしても中里先生の作品の米軍人にはなりたくないです。


そんな感じで擬似科学スキーとしてはちょっと残念、中里先生ファンとしてはしっかり楽しませていただきました。
先生、できれば、REIを……

*1:扱っているネタがよくトンデモ本で扱われているものだということであり、これ自体がトンデモ本なのではない