人類皆兄妹! 〜目覚めよ愛の妹力〜  (佐藤ケイ 電撃ヴんこ)

天国に涙はいらない」の著者である佐藤ケイ氏がデビュー前に書いた2つの作品。
妹シリーズとして生み出された2つの内“病弱妹”は「LAST KISS」として無事日の目を見たものの
担当さんの強い反対によってお蔵入りになっていたもう一方の作品。
その作品こそがこの“ロボット妹”らしいです。
書いてあることを鵜呑みにすれば、ですが。


あらすじとしては、男の中の男を目指す主人公(バンカラ風)が、知り合いのマッドサイエンティストが作ったロボットに乗って異星人による侵略から地球を守るお話。
といってもそのロボットたる“もえみちゃん1号”の戦闘能力は、そこらのか弱い少女をさらに弱体化させたレベル。
そこでもえみちゃんは完璧な妹として相手の心に進入し、妹からのお願いという圧倒的強制力を持って平和的解決を目指すのです。


天国に比べてシリアスよりだったLAST KISSとは逆に、天国よりさらにコメディよりになっているかな。
ページ数の都合で一部が省略されている(その部分はあらすじだけ書かれてます)のが残念ですが、佐藤氏らしい話で楽しかったです。
男の中の男を目指していたのに妹言葉で話さないといけない事に対する主人公の葛藤とか。
後半はさりげなく良い話っぽいのに、あえてオチで切なげな余韻を吹き飛ばしてるよーな気がするのもいつもの話。


まあでもこれは電撃ヴんこの中だから良いのであって、これだけで1冊の本として出たらさすがにくどいかなーと思わなくもなかったり。