ガンダムSEEDにみるオマージュ 〜第1回〜

ガンダムSEEDには実に多くの歴代ガンダム作品に対するオマージュが盛り込まれている。
これは周知の事実である。
分かりやすいもので言えばフラガとクルーゼが戦場で出会った時の効果音など
初めて使われたシーンでは噴き出してしまった方も少なくはないのではなかろうか。
ネット上で少々探して回れば、オマージュ部分を列挙している考察サイトも少なくない。
まず、今回の記事を書くにあたり私の立場を明確にさせておこうと思う。
はっきり言って私にはそれらの考察サイトの末席を汚そうなどという考えは皆無である。
ならば何故こんなテーマで書こうとしているのか、その理由は1つである。
私は今回の記事を書くにあたり色々と考察サイトを巡ってみた。
これにより私は完全に見落としていた様々な事実に気付かされた。
だが、いくつものサイトを回るにつれ、徐々に私の中に1つの疑念が生まれてきた。
SEEDにおけるオマージュの中で、最も分かりやすくかつ重要なあるオマージュについて言及しているサイトが全くないのである。
これはどういうことだろうか。
例えばこれがアニメ雑誌の特集記事などであるならばまだ納得できる。
それらはアニメ製作会社との打ち合わせで「ここまでは書いていいが、ここから先は駄目」といった線引きがされているだろうからだ。
だが、よく言えばそう言ったしがらみのない、悪く言えば好き勝手書けるネット上の考察サイトが揃って口を閉ざしているのはいかなる訳か。
あれだけ細かい点まで気がつく管理人達が気付いていないはずがない。
つまり、何らかの力が働いていることは明らかだ。
だからこそ、私は書こうと思う。
彼らが何故口を噤んでいるのか、それは私には推測する事しか出来ないが
自ら気付いた事を書くことならば私にも出来るのである。


さて、前置きが長くなってしまった事で「さっさと教えろ」といらいらしている方もおられるだろう。
そこで、証明するのは後に回してまずいきなり結論から書こう。
ガンダムSEEDにおける最大のオマージュ、それは
ヤキン・ドゥーエヤザン・ゲーブルへのオマージュ」ということだ。
これを聞いて「何を今更当たり前な事を」と思った方はこの段落は飛ばしていただいて結構だ。
この段落ではこの先証明していくだけである以上、すでに納得している方にはあまり意味がないものとなっている。
では、「えっ、そうだったの!?」と思った方に説明していこう。
まず初めに言っておきたいのは、この説を唱える根拠は別に名前の響きが似てるからというだけではない。
もちろん名前が似ているというのも根拠の1つではあるが、逆に言えば根拠の1つでしかないのだ。
(だいたい名前が似ているだけでオマージュになるのなら「ムウ・ラ・フラガライラ・ミラ・ライラのオマージュ」などという荒唐無稽な説まで成立してしまう!)
ではその根拠を1つずつ見ていこう。
まずその外見だ。
こちらが宇宙要塞ヤキン・ドゥーエ、そしてこちらがオールドタイプ最強のパイロットと呼ばれるヤザン・ゲーブルである。
どうだろう、まさにうりふたつと言っていいほど両者は似通っているではないか。
とくにヤキン・ドゥーエ下部とヤザン・ゲーブルの顎のラインなどトレースしたのではないかと疑ってしまうほどピッタリと一致する。
ここまで一致すると自説を補強するために画像を加工したのではと疑ってしまう方もおられるかもしれないが
誓って私はこれらの画像に手を加えてなどいない。
にもかかわらずこれほどそっくりなのだ。これだけでも根拠としては十分過ぎるほどだろう。
だが根拠は実はもう1つある。
しかもそちらは外見の相似以上にクリティカルだ。
それは歌である。
貴方はヤザン・ゲーブルのテーマソングを御存知だろうか。
この歌の歌詞が正に「ヤキン=ヤザン」説を支持する最大の根拠なのである。
歌詞を全文掲載すると権利などで問題が生じかねないので特に顕著な部分だけを抜粋しよう。
まずヤザンのテーマソングの一部がこれである。

ヤザーン  ヤザーン  ひとはだれーでもー
ヤザーン  ヤザーン  ひとつのたいーようー
きどうせんしヤザーン

この部分が伝えたいのは『人は誰でも1つの太陽なんだ。皆皆生きているんだ友達なんだ』ということである。
この歌詞の中の“ヤザン”を“ヤキン”に置き換えてみよう。

ヤキーン  ヤキーン  ひとはだれーでもー
ヤキーン  ヤキーン  ひとつのたいーようー
きどうようさいヤキーン

どうだろう、元の歌が伝えたかったメッセージが全くそのままに保存されているのがおわかりいただけるだろうか。
入れ替えても全く元の文章が持っていたメッセージが損なわれることがない。
つまりこの2つの物は全く同質な存在である、そう言う事が出来るだろう。
これこそ「ヤキン=ヤザン」説を裏付ける決定的な根拠である。


さて、ここまでで「ヤキン=ヤザン」が間違いない事が証明できた。
では、もう一歩踏み込んでみよう。
つまり、スタッフが“何故”このようなオマージュを仕込んだのか。
そこに込められたメッセージを読み取る事こそ今回の記事の本懐である。
ここで再び名前に目を戻してみよう。
とは言ってもここで注目するのはドゥーエとゲーブルである。
この2つを分解し並べ替えてみよう。
すると「ゲエブドゥル」という言葉を作ることが出来る。*1
これを見て「そうか、“魔術師の赤”だッ!」などと短絡的に考えてはいけない。
“魔術師の赤”は容易に真のメッセージに到達されない様にするためにスタッフが用意した落とし穴なのである。
ここで正解にたどりつく為の鍵はカバラ数秘法だ。
このカバラ数秘法に従って文字列を数列へと変換する。
この行程は非常に複雑である為ここでは具体的には書かない。*2
こうして出てくる数列が(43 57 02 64 22 10 65)である。
これだけ見ても意味が掴めないだろう。
焦ってはいけない。
これはまだ途中の段階、いわばサナギマンだ。
立派なイナヅマンになる為にはもう一手間加える必要がある。
そう、カバラ数秘法を用いて再び文字列に変換するのだ。
これを聞いて「おや?」と思う方もおられるかもしれない。
カバラ数秘法で文字を数に変換し、それにもう1回カバラ数秘法で数から文字にしたら元通りになってしまうのではないか。
なるほど、こんな疑問がわくのももっともである。
だが、ご安心頂きたい。
カバラ数秘法は一種の演算子ととらえる事が出来る。ここで仮に(文字→数字)と対応させる演算子をXとおこう。
そして(数字→文字)と対応させる演算子をYとした場合、元の文字列をzとすると
Y{X(z)}=z
という関係は必ずしも成り立たないのである。*3
では、実際に演算子を作用させてみよう。
Y{X(ゲエブドゥル)}=Y(43 57 02 64 22 10 65)=(ノストラダムス


ノストラダムス


驚かれただろうか。私も最初この結論にたどりついた時は愕然としたものだ。
当初、隠されたメッセージと言っても「ラクスたん萌えー」程度のレベルだろうと軽い気持ちで始めたそれが
まさか言わずと知れた大予言者の名前に行き当たるとは予想だにしていなかったのだから。
だが、何度確かめてみてもこの結論は変わらなかった。
(当然である。最初からどこにも間違いなどなかったのだから)
実際の所、1999年が過ぎ去って以来、世間のノストラダムスへの関心は薄らいでいくばかりである。
だが、彼の予言は決して1999年までで終わってはいない。
ノストラダムスを忘れるな」
これこそが「ヤキン=ヤザン」に隠されたSEEDスタッフからの魂のメッセージなのではないだろうか。
そろそろ関東地方に大地震が来るという予測も飛び交う昨今、この記事が読んだ方の防災意識向上のきっかけになればこの上もなく幸いである。

*1:「ー」はノイズなのでカットした。

*2:興味のある方は民明書房刊「1週間で分かるカバラ数秘法」にて非常に分かりやすく解説されているので参照されたい。

*3:初等数学では成立する関係が高度な数学では成立しないのはよくある事である。例えば“積”などもその1つであり、数a,bについてa・b=b・aは成り立つが行列式A,BについてA・B=B・Aは必ずしも成り立たない。